食物負荷試験
- 2026年10月21日
- アレルギー
食物経口負荷試験(食物アレルギー負荷試験)を受ける前に知っておきたいこと
「血液検査で卵が陽性だったので、負荷試験を受けたい」
「離乳食で食べさせる前に、負荷試験をしておいた方が安心?」
「転居して、負荷試験の続きを受けられる所を探している」
このようなお悩みをお持ちの保護者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
食物経口負荷試験(以下、負荷試験)は、食物アレルギーの診断や、どのくらいの量なら安全に食べられるかを確認するための大切な検査です。一方で、アレルギーの原因となる食べ物を実際に食べていただく検査のため、強いアレルギー症状(アナフィラキシー)が起こる可能性もある検査です。
そのため当院では、すべての方に負荷試験を行うのではなく、問診や検査結果などを詳しく確認したうえで、負荷試験が必要と判断した場合にのみ実施しています。
ここでは、負荷試験とはどのような検査なのか、負荷試験が必要な場合・必要でない場合、当院での受診から試験までの流れについてご説明します。
食物経口負荷試験とは
負荷試験とは、アレルギーが疑われる食べ物を、医師の管理のもとで少量から段階的に食べていただき、症状が出ないかを確認する検査です。
主に次のような目的で行います。
- 本当にその食べ物でアレルギー症状が出るのかを確認する(診断)
- どのくらいの量までなら安全に食べられるかを確認する
- 成長とともに食べられるようになったかを確認する
負荷試験にはリスクもあります
負荷試験は、アレルギーの原因となる可能性のある食べ物を実際に食べる検査です。そのため、検査中や検査後に、じんましん・せき・嘔吐などのアレルギー症状が出ることがあり、まれにアナフィラキシーなどの強い症状が起こることもあります。
負荷試験は、症状が出たときにすぐに対応できる体制のもとで、慎重に行う必要がある検査です。「念のため」「とりあえず」で受ける検査ではないことを知っておいていただければと思います。
当院の負荷試験に対する考え方
当院では、負荷試験を希望して受診された場合でも、すぐに負荷試験を行うのではなく、まず診察によってお子さまの状態を詳しく確認します。
具体的には、
- これまでに何を、どのくらい食べて、どのような症状が出たか
- 症状が出るまでの時間や、症状の強さ
- 現在、その食べ物を家庭でどのくらい食べているか
- 血液検査などの検査結果
- 湿疹やぜん息など、ほかのアレルギーの状態
などを確認し、負荷試験を行うことで得られるメリットと、検査に伴うリスクを比べたうえで、実施するかどうかを判断します。
その結果、負荷試験を行わなくても、ご家庭で食べ進めていけると判断できる場合もあります。反対に、過去に強い症状が出たことがあるなど、リスクが高いと考えられる場合には、より安全に検査を行える専門の医療機関をご紹介することもあります。
負荷試験はお子さまの体に負担のかかる検査でもあります。当院では、必要な検査を、必要なお子さまに、安全に行うことを大切にしています。
負荷試験が必要ない場合もあります
「食物アレルギーが心配=負荷試験が必要」というわけではありません。次のような場合には、負荷試験を行わないことがあります。
すでにその食べ物を問題なく食べられている
日常的に一定量を食べていて症状が出ていない場合には、負荷試験で確認する必要はありません。そのまま食べ続けることが大切です。
血液検査が陽性なだけで、まだ食べたことがない
血液検査(特異的IgE抗体検査)で陽性と出ても、実際に食べてみると症状が出ないお子さまは少なくありません。食べたことがない食べ物については、検査結果だけで判断せず、これまでの経過や年齢などから、ご家庭で少量から試してよいか、負荷試験で確認した方がよいかを判断します。
最近、明らかな症状が出たばかり
少量でもはっきりとした症状が出たばかりの場合には、すでに診断がついていると考えられます。すぐに負荷試験を行うのではなく、一定期間をあけてから改めて検討します。
体調やほかのアレルギーが安定していない
風邪をひいている、湿疹やぜん息がコントロールできていないなどの場合は、正しく判定できなかったり、症状が出やすくなったりするため、負荷試験は延期します。
「血液検査が陽性=食べられない」ではありません
血液検査の結果は、その食べ物に対して体が反応しやすい状態(感作)であることを示すもので、それだけで食物アレルギーと診断できるわけではありません。
検査結果だけを理由に食べ物を除去してしまうと、本来は食べられる食べ物まで避けることになり、食事の幅が狭くなってしまうことがあります。
また、食べたことのない食べ物について、症状がないうちから「念のため」血液検査や負荷試験を行うことは、基本的にはおすすめしていません。離乳食はお子さまの体調のよいときに、少量から始めていきましょう。湿疹が強い赤ちゃんなど、離乳食の進め方に不安がある場合はご相談ください。
負荷試験を検討する場合
診察の結果、次のような場合には負荷試験を検討します。
- 食物アレルギーが疑われるが、本当にその食べ物が原因か、はっきりしない
- 以前に症状が出て除去しているが、成長とともに食べられるようになったかを確認したい
- どのくらいの量までなら安全に食べられるかを確認し、食べられる範囲を広げたい
- 保育園・幼稚園や学校での給食の対応を決めるために、診断を確認する必要がある
負荷試験の目的は、「食べられないこと」を確認することではなく、安全に食べられる範囲を見つけて、必要最小限の除去で生活できるようにすることです。
当院での受診から負荷試験までの流れ
1
初診(診察・問診)
まずはアレルギー外来を受診していただきます。これまでの症状の経過や、食べている量、検査結果などを詳しく確認します。初診の日に負荷試験を行うことはありません。
2
必要に応じて検査
必要に応じて血液検査などを行い、負荷試験が必要か、安全に行えるかを判断します。
3
負荷試験の実施を判断・ご説明
負荷試験が必要と判断した場合には、検査の方法やリスク、当日の注意点などをご説明したうえで、日程を予約します。負荷試験が必要ないと判断した場合には、ご家庭での食べ進め方などをご説明します。
4
負荷試験の実施
体調のよい日に、医師の管理のもとで少量から段階的に食べていただき、症状が出ないかを確認します。検査後もしばらく院内で様子を見ます。
5
結果に応じた食事の指導
試験の結果をもとに、ご家庭で食べてよい量や食べ進め方をご説明し、定期的に経過を確認していきます。
※負荷試験は火曜・水曜・木曜の午前中に実施しており予約制です。
※検査の前には、一定期間お休みしていただくお薬(かゆみ止めなど)があります。詳しくは診察時にご説明します。
これまで他の医療機関で負荷試験を受けていた方へ
転居などにより、転院希望で当院を受診される方もいらっしゃいます。
当院では、これまでの経過を引き継いだうえで、改めてお子さまの現在の状態を確認し、負荷試験が必要かどうかを判断します。そのため、前の医療機関と同じように、すぐに次の負荷試験を行うとは限りません。
診察の結果、負荷試験を行わずにご家庭で量を増やしていける場合や、しばらく経過を見てから検討する場合もあります。ご理解いただけますと幸いです。
受診の際にお持ちいただきたいもの
- 紹介状(診療情報提供書)※お持ちの場合
- これまでの血液検査の結果
- これまでの負荷試験の結果(食べた食品、量、症状の有無など)
- 現在ご家庭で食べている食品と量のメモ
- エピペン®などの処方されているお薬
- 母子健康手帳、お薬手帳
これまでの記録がそろっているほど、お子さまの状態を正確に把握し、無駄な検査を減らすことにつながります。お手元にある資料はできるだけお持ちください。
食物負荷試験についてよくある質問
Q 負荷試験を受けたいのですが、初診の日に受けられますか?
A 初診の日に負荷試験を行うことはありません。まず診察でこれまでの経過や検査結果を確認し、負荷試験が必要かどうか、安全に行えるかを判断したうえで、必要な場合に日程を予約していただきます。
Q 血液検査で陽性でした。食べさせない方がいいですか?
A 血液検査が陽性でも、実際には食べられるお子さまは少なくありません。検査結果だけで自己判断で除去を続けるのではなく、一度ご相談ください。これまでの経過と合わせて、食べ進め方を一緒に考えます。
Q 離乳食を始める前に、アレルギー検査や負荷試験をしておいた方が安心ですか?
A まだ食べたことがなく、症状も出ていない食べ物について、事前に検査や負荷試験を行うことは基本的におすすめしていません。体調のよい日に、少量から始めていきましょう。湿疹が強いなど心配なことがある場合はご相談ください。
Q 負荷試験は危なくないですか?
A 負荷試験では、アレルギー症状が出る可能性があります。そのため当院では、事前に安全に行えるかを確認したうえで、少量から段階的に進め、症状が出た場合にはすぐに対応できる体制で行います。リスクが高いと判断した場合には、専門の医療機関をご紹介します。
Q 前の病院では定期的に負荷試験を受けていました。当院でも同じように続けられますか?
A これまでの経過を引き継いだうえで、改めて負荷試験が必要かどうかを判断します。そのため、これまでと同じ間隔で負荷試験を行うとは限りません。ご家庭で量を増やしていける場合など、負荷試験を行わずに進められることもあります。
Q 負荷試験で症状が出たら、ずっと食べられないのですか?
A 負荷試験で症状が出た場合でも、症状が出なかった量までは食べられることがあります。また、成長とともに食べられるようになるお子さまも多くいます。結果をもとに、食べられる範囲や今後の進め方をご説明します。
Q 食物アレルギーは何科を受診すればいいですか?
A 子どもの食物アレルギーは小児科で相談できます。当院では、アレルギー専門医の資格を持つ医師が、お子さまの状態に合わせて診療を行っています。
食物アレルギー・負荷試験についてお悩みの方へ
食物アレルギーの診療で大切なのは、検査の数を増やすことではなく、お子さまが安全に、できるだけ多くの食べ物を食べられるようにしていくことです。
負荷試験は、その目的のために役立つ大切な検査ですが、アレルギー症状が出るリスクもある検査です。当院では、お子さま一人ひとりの経過や検査結果を丁寧に確認し、本当に必要な場合に、安全に配慮して負荷試験を行っています。
「血液検査で陽性と言われて、何を食べさせていいか分からない」
「転居して、これからの進め方に困っている」
「負荷試験が必要なのかどうか相談したい」
「除去を続けているけれど、そろそろ食べられるか知りたい」
など、食物アレルギーについてお悩みの方は、まずは加賀田小児科のアレルギー外来でご相談ください。